TAJYURO JYUNAIKI

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2019年29日 (火)

さぬき映画祭2019、オープニング上映に中島監督&高良健吾が登壇

2月に開催された、さぬき映画祭2019のオープニング作品として『多十郎殉愛記』が上映され、舞台挨拶に中島貞夫監督と高良健吾が登壇。

監督は「この20年間考えて、“ちゃんばら”はやっぱり日本映画の大切な真心だと思った」と、約20年ぶりの長編映画が“ちゃんばら時代劇”であった理由を語った。
そして、監督が「これが最後」という気持ちで臨んだ本作の主演、高良健吾について「一緒に映画を作った高倉健、菅原文太、渡瀬恒彦、松方弘樹がいなくなり、もう俺たちの時代が終わった、という感じがしていました。
これから一緒に作る俳優は孫のような人たちで会話も通じないだろうと、半分そう思っていたんです。ところが、それは杞憂でした。高良ちゃんは太刀役だから、斬ることだけをやっておけばいいのに斬られ役の練習にも入りたい、と。『あら!ほんとにわかってきたな』と思いました。斬るよりも斬られる方が難しいんです。それを自ら理解して、志願してきたときに、彼のこの映画に懸けてくれる熱っぽさを感じました」と絶賛。

今回、本格的な殺陣は初めてという高良は「斬る方だけではなく斬られる練習ができたことは、今後の俳優人生のなかでも生きると思います。
中島監督の時代劇で鍛えられて、とてもラッキーでした。監督の言葉はいつも短くて豊かで、その演出がとても楽しかったです。
ぽんぽんと二言三言。それで自分がどう表現しないといけないのか、と考える時間が贅沢でした」と、レジェンド・中島監督組に参加できたことへの喜びを語った。

そして『多十郎殉愛記』というタイトルについて監督は「何のために男は悔いなく死ねるんだろう。そういうことを考え始めるとやっぱり、人間味というものが出てくるだろう、と。
タイトルを作るときに迷ったんですけど、キザだとかなんだとか考えずにつけちゃえ!と、こうなったんです」と明かした。
また、“殉愛”の部分で大きな役割を担う、多十郎を一途に想うおとよを演じた多部未華子について監督は、「多部ちゃんは、受けの芝居に関しては天才的。これはもう保証します。だから、あとで編集することを考えながら撮ったんだけど、入れなくて済んだんだよね。若いのにこんな女優がいるのか、と思ったくらい」と手放しで褒めちぎった。

また本作のラストの殺陣について高良は「あれだけの人数に囲まれても多分斬ったのは数人。本当に相手の命を取るような斬り方をしたのは、自分を傷つける者や、やむを得ない時だけです。台本を読んだ時はわからなかったのですが、監督は何度も何度も話してくれました。そこでは斬らないんだ、そこでは相手に致命傷を与えないんだ、と。今の殺陣は素早くバッと当てる殺陣が多いのですが、その分ケガもすごく多い。東映剣会は相手を思いやる殺陣なので、絶対相手に当てないし、ケガをさせないということが大前提。だからすごく渋いんです。ちゃんばらや時代劇が好きな方には、懐かしさがあると思います」と語理、最後は監督の次回作への期待を込めた盛大な拍手で幕を閉じた。

多十郎殉愛記