「くノ一忍法」(1964)で監督デビュー以後、「893愚連隊」、「にっぽん’69 セックス猟奇地帯」「懲役太郎 まむしの兄弟」シリーズ、「現代やくざ 血桜三兄弟」「木枯し紋次郎」、「鉄砲玉の美学」、「狂った野獣」、「極道の妻たち」シリーズ、「瀬降り物語」など、数々の傑作映画を生み出してきた映画監督 中島貞夫。
監督として育ててくれた東映京都撮影所のため、京都の映画作りの伝統をのこすため、20年ぶりにメガホンをとったちゃんばら時代劇(「多十郎殉愛記」)。気合十分、準備OK。だけど、そんなにうまくは進まない――。
2018年の東映京都撮影所を舞台に繰り広げられていく中島貞夫監督(当時83歳)とキャスト・スタッフたちによる覇気あふれる映画作りと、友人である倉本聰(脚本家)や、かつての仕事仲間である荒木一郎(俳優/作家/歌手)、三島ゆり子(女優)、橘麻紀(女優/歌手)、高田宏治(脚本家)、教え子の熊切和嘉(映画監督)らによる言葉たちと共に綴られていく、ひとりの映画監督の愛すべきポートレイト。
京都国際映画祭2021、大阪アジアン映画祭2022で上映され喝采を浴びたドキュメンタリーがついに公開。
1934年8月8日、千葉県東金市生まれ。
1955年、東京大学文学部美学美術史学科に入学。倉本聰らと「ギリシャ悲劇研究会」を結成し、日比谷野外公会堂公演の演出を担当する。
大学卒業後、東映に入社。『くノ一忍法』(1964年)で監督デビューし、京都市民映画祭新人監督賞受賞。
1967年よりフリーの監督として、やくざ、風俗、任侠、時代劇、文芸、喜劇などなど多種多様の作品を手がける。代表作は『893 愚連隊』(1966年)、『まむしの兄弟』シリーズ、『木枯し紋次郎』シリーズ、『日本の首領』三部作、『真田幸村の謀略』(1979年)、『序の舞』(1984年/インド国際映画祭監督賞受賞)、『女帝 春日局』(1990年)、『極道の妻たち』シリーズなど。
大部屋俳優からスターを輩出し、若手スタッフ指導に尽力するなど、後進に希望を与え続ける。
京都市文化功労賞(2001年)、京都府文化功労賞(2002年)、牧野省三賞(2006年)、映画の日特別功労賞(2015年)、京都映画大賞 受賞(2018年) など受賞多数。
中島貞夫
コメント
映画監督中島貞夫
『これが我が生き様か。』
監督松原龍弥
『杖を握り、足袋(時には下駄)を履き、足場の良いとはいえない場所を中島監督はぐいぐいと進む。自分にとってやるべきこと、それがあれば年齢や肉体の衰えなど問題ではない。そんなメッセージが彼の足取りから伝わってくるような気がする。
現場に立つ中島監督の身振り手振り眼差しには、ひとりの映画監督の仕事をこえて、それ自身が彼の生き方そのもののように思える瞬間があった。
そんな中島監督の「かっこよさ」が、見てくださる人々に少しでも伝われば幸いです。』